人間関係の悩み


1.私達はこの世の中の社会で生きて居ます。難しい言葉で言うと、共同体組織の中で生活しています。現代の世界ではこのような組織の中でしか生きて行けません。こういった社会の仕組みから、人間関係を大きく三つに分けます。まず最初は「仕事に関する人間関係」これは、私達が生きて行く上でこの世の中、仕事や趣味、遊びと言った多くの事が必要だからです。このように遊びも含めて全て、「仕事に関する人間関係」とします。

次が、友人、知人との間の人間関係。親戚なども皆この中に入ります。これを「友人、知人の人間関係」

最後が「家族の人間関係」に成ります。このように分けるのは、私達が生きて行くこの共同体社会の中での生活に向き合うのに、三つのタスク(仕事)が有るとする考え方から来ています。それが今述べた、「仕事のタスク」「友人との付き合いのタスク」「家族と仲良く過すためのタスク」としている事と一致させて居ます。この三つの人間関係の有り方はそれぞれ微妙に違います。それをこれから見て行きましょう。

2.もう一つ私達は問題を抱えて居ます。それは私達が健常者では無い事です。何がしの問題を持っているとそれだけで色々な意味で、他人と比較して劣等意識を持ちます。この事がこれらのタスクと向き合う時に私達の重荷の一つに成ります。

ですが、森田療法はこれを重荷と考えないで立ち向かうように教えます。又、そのような前向きの態度で無いと人間関係の改善は計られません。是非このページを読んで立ち向かう勇気を持って頂きたいのです
この三つの人間関係の内、家族の問題だけは「家族の人間関係」として、別ページで述べますので、こちらを参照して下さい。(家族の人間関係はこちら)

3.大きく三つに分けたのは、次のような理由からです。
(1)仕事の人間関係
対人的距離感が非常に大切になります。仕事(遊び、趣味の人間関係もこれに含みます)仕事の人間関係は大体1M以上離れた距離感が必要でこれ以上近づくと違和感を覚える間柄と認識すると良いと思います。

(2)友人、知人の人間関係
対人的な距離感は50cmまで、これ以上近づくと違和感を覚える間柄です。

(3)家族の人間関係。別名は「愛の人間関係」
対人的な距離感は10cm程度、密着しても違和感を覚えない場合も多いです。ですから距離感は0としても良いです。これが家族の人間関係と言えます。特に「夫婦」「親子」がこれにぴったりすると思います。


4.大勢の人間の好き嫌いの問題


5. しかしながら、このように一人一人が違う個性である。この事は皆さん頭では判って居るのですが、日本の長い間に形作られたこのような社会の人間観は全く逆で、少なくとも表面的には「皆同じ個性、信念で有るべき」だと思われていたのです。今の時代になってやっとこの様に言われることに成りましたが、長い間の文化に基づいた人間観はそう簡単に変わるものでは有りません。今だに日本の社会では「皆同じ個性、信念であるべき」と考えて居る人が多いのです。しかしながら実際の生きた人間は前項のように、一人ひとりが違う個性、信念を持った人である事を忘れないで欲しいのです。


6.「皆同じ個性、信念であるべき」が未だ根付いているからこそ、人と違った行動や考え方を取りにくい現状が有り、他人を意識する文化が続いているのです。此処に対人恐怖などが起こる原因があるのです。人間関係で言えば、他人と違う事をすると「目立つからしたくない」と考えたり、違う個性、信念を受け入れにくい社会常識が人間関係を複雑にします。


7. まず第1に頭に入れて欲しい事は、色々な社会(共同体)の中(例えば、会社、学校、趣味の会、町内会等)で関わるこれらの人間に対して「全部の人に好かれる事は不可能である」事を事実として受け入れておいて欲しいのです。これは一人ひとりが違う個性、信念である事を受け入れる事でもあります。従って、心理学では良く7:2:1の法則(人によっては6:2:2)と言われるのが有ります。これは回りに10人居たとすると、7人は良くも悪くも無い関係、2人は良い関係、一人はどうしても上手く行かない関係になると言うのです。これは前項の様にそれぞれが違う個性、信念を持つ集団ですから、全部の人と合わせるのは無理だと言っている訳です。この法則は一人の上手く行かない人が気になって、自分をその人と仲良くなろうとしゃべり方や態度を変えると、その人とは上手く行く様になるかも知れないが、そうすると良くも悪くも無い人の中から又上手く行かない人が一人出るようになる。だから何時までも7:2:1だとゆうわけです。


8. 問題は気の合わない人との関係をどうするか?と言う事になると思います。本当のところ前項に述べたように、どうしても10人に一人程度の割合で気の合わない人が居るのが普通ですから「仕方の無いこと」と思い切れば、どうと言う事のない話になります。


9.しかしながら「人間関係で悩む」と言う事は実を言えば、この気の合わない人との関係を、そんな簡単に思い切れないからこそ悩む。或いはたまたま気の合わない人が上司だったり、その人の重要な位置にある人間だったりした場合なのであって、これをどうするかが「解決策」と言えるでしょう。又、性格や信念の中味が意地の悪いタイプもたまには居ますから、こういう人とは旨く行く方が難しいでしょう。


10.そこで簡単な解決策を、此処では述べるだけに留めておきます。本来人間は自分の個性や信念を深くは知りえません。又、簡単には考え方や態度を変えられないものです。ですから「人間関係」の解決策も本当は、カウンセリングを行って、十分な時間を取る必要が有ります。横浜第2集談会では、これらのカウンセリングを行っています。使用するのは、認知行動療法と森田療法の考えに似た、アドラー心理学を応用した方法です。これに森田療法の考え方の必要な部分を取り入れています。悩みが深い方は是非集談会にお越し下さい。では以下の事を知っているだけでも少しは楽になりますので書き出しておきます。参考になさって下さい。
 (1)10人に一人は気の合わない人が居る。と言う事を知っているだけでも大分、気が楽になります。
 (2)「世界は挑戦的である」と言う信念も是非、知っていて欲しいのです。この「世界は挑戦的」と言うのは、世界が貴方を攻撃する。と言う事ではなくて、この世の中は貴方が何時も望んでいるように、良い事ばかりが起こるのではない。自分がこう成りたいと希望する事と反対の事象が起こると言う意味です。例えば、希望の学校に受験できたとしても、必ず受かると言うものでは無く、落ちる事も多いかもしれないのです。やっと就職できた大手の会社が倒産する事も有り得ます。結婚まで行きかけた恋人が急に心変わりをして、別れざるを得なくなった。つまり失恋ですね。このように自分に不都合な事が起こりえる事を「世界は挑戦的である」と表現します。このような事が起こっても自分は解決して行ける。常々こう言い聞かせていて下さい。
 (3)給料を貰う。或いは学業に精を出す。このような事を遂行するのには、ある程度嫌な人とも付き合う必要が有るのだと割り切れるように自分に言い聞かせる。この事も多少は気持ちを楽にします。


11. でも人間関係の問題と言ってもレベルが有ります。前項で収まる範囲の程度で有れば日常的に、しょっちゅう起こる問題ともいえるかも知れないのです。大体人間関係で嫌だなと感じている程度を3段階に分けて見ます。
 (1) 家に帰るともう忘れていて、有った時に又言われて嫌だなと感じる程度。
 (2) 会社、或いは学校を出ても、何時までも頭に残っていて、嫌なやつだなといつも考えるようになる。かなり悪いです。
 (3) 生理的に嫌だなと思うようになってしまった。この段階ではもう解決はかなり難しいです。もし、人間関係の問題で集談会に来る人が居たらこの程度だと思いますので、解決は極めて難しいですが出来ないことはありません。森田療法の理論を用いて或いは他の心理学を応用して
時間を掛けて解決して行きます。