一般的なお薬の話
   心の病の薬物療法に使われる薬を向精神薬といいます。向精神薬には第1種から第3種まで分けられていますが、我々神経症の人達の集まりである生活の発見会では第3種(一番軽い向精神薬で一般に抗不安薬とか催眠導入剤と言われている物です。)の薬に関する参考に成るお話を此処でしたいと思います。


 1.第1種及び第2種の向精神薬は主に「統合失調症」や「重いうつ」に使われる極めて強い薬である為、専門の医師の下に慎重に
  使う必要が有ります。副作用も強いです。もう一つの心配は、麻薬のような、ふらふらするような普段得られないような感じが得られる薬も有るため、麻薬代わりに使われる恐れが有るのです。このため法律で「製造、販売、使用」が厳重に決められています。

 2.第3種の薬はそれ程では有りません。従って法律で規制はされていますが、第1種や第2種に比較してかなり規制は緩やかです。

 3.副作用:第3種の薬でも、副作用は色々有ります。これらは薬によって違う為、ここで一概に上げる事は出来ません。

 4.向精神薬は一般的に使用期間が長いことを前提に作られている為、副作用は他の薬に比べて少ないとされています。医師の指導の下に正しく使う事です。それでも一般的にこの向精神薬は「緊張」をほぐしたり、「不安感」を抑えたり、「睡眠」障害のための薬が多いのです。従って共通するのは、緊張緩和、副交換神経の働きを強める。催眠導入などの働きが有ります。このため、どうしても  次のような副作用は起きます。承知していると良いと思います。
  (1)緊張緩和から、筋肉の弛緩。このため力が出にくかったり、筋肉がだるい感じがします。
  (2)副交感神経の働きを強めますので落ち着く反面、行動がやや不活発に成ります。血圧も多少下がります。その結果「立ちくらみ」など眩暈が起きやすくなります。
  (3)眠気を起すケースが多いです。従って、車の運転などは充分気をつける必要が有ります。

 5.以上のような事情です。しかしながら副作用を心配して勝手に量を加減したり、服用を止めたりする方が自分の症状に対して悪い結果をもたらす。と心の病に関する薬のページに書かれています。

 6.副作用が出たら、医師に対して正確に報告して、正しい対処をしてもらいましょう。

 7.長期間使う事と、向精神薬には依存性も有ります。従って薬の減らし方も問題です。良い医師は薬の減らし方が上手です。

 

これ以上のお話は薬事法違反になる可能性も有ります。今の所はこの程度にしておきます。

 


最新の抗うつ薬SSRI&SNRIのお話

1.SSRIは(Selective Serotoninn Reuptake Inhibitors)の略で日本名は「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」と名付けられています。


 2.旧来の三環系などと呼ばれる抗うつ薬は作用や副作用が強く、扱いにくかったことから、肝毒性・心毒性などの副作用を少なく、より選択的に作用することを目的として開発された。実際には副作用の内容が変わっただけで、減ったとは言い難い。と心の病、薬のページに書かれています。


 3.現在発売されているSSRIは次の通り。既にジェネリックが発売されている薬もあります。2015年6月現在、分かっているジェネリックについては薬の名前の後に()で入れておきます。


   ・日本で承認済み。 デプロメール、ルボックス(両者は同一薬、前者が明治製菓、後者がアステラス製薬の商品名)、パキシル(パロキセチン)、ジェイゾロフト(セルタ)、レクサプロ、ブロザック(オキセチン)

 

   ・日本で未申請であるが、外国で用いられている。セレクサ


4.SNRIは(Serotoninn & Noradorenaline Reuptake Inhibitors)の略で日本名は「セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤」と呼ばれる。


 5.SSRIがセロトニンの濃度を高めることによってうつ状態を改善させるのに加え、SNRIでは更にノルアドレナリンの再吸収を阻害する事に拠って、興奮神経を刺激し、やる気や気分を向上させる効果を発揮すると言われている。


 6.現在発売されているSNRIは次の二種
   ・日本で承認済み。 トレドミン、サインバルタ(デュゼラ)
   ・日本で未申請であるが、外国で用いられている。 エフェクサー


7.これらSSRI及びSNRIは抗うつ薬として開発されたが、使ってみて、パニック障害、強迫障害にも効果がある事が分かり、パキシルなどはパニック障害の特効薬として使われるようになった。同様に強迫障害にも効き目がある事が分かり、現在その薬として使われるようになっている。

 


新抗うつ薬NaSSAの登場
1.日本に於いて本年(2009年)7月7日、新しいタイプの抗うつ薬 レメトロン、リフレックス(両者は同じ物で製薬会社が異なる為に商品名が異なる。薬種名はミルタサビンといい、1994年にオランダで発売された。)が製造承認された。

 2.NaSSAは(Noradrenerigic and Specific Serotonergic Antidepressant)といい、「ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬」と呼ばれている。

 3.先に述べたSSRIやSNRIは
 (1)作用発現迄に時間が掛る。
  (2)セロトニン受容体刺激によると考えられる、「悪心、嘔吐、下痢」などの副作用が見られる。
  (3)長期の使用や、急激な薬量の増減を行うと「攻撃性」などの副作用も報告されるようになった。

 4.このため新しいNaSSA(薬種名ミルタサビン)は、セロトニンなどの神経伝達物質の「うつ」に関する受容体のみを阻害する事によって効果を高める働きをすると思われる。今までの日本における臨床試験では、投与1週間目から効果が現れ、長期には52週まで効果が維持されている事が確認されている。

 5.但し、82.7%に何らかの副作用が認められた事に留意する必要がある。高頻度に認められた副作用は、「傾眠、口渇、倦怠感、便秘」などである。


副作用の考え方
1.先に向精神薬の一般的な副作用について述べましたが、薬一つ一つはそれぞれもっと広範囲な副作用が必ず有ります。これに付いての考え方ですが、人によっては「副作用が心配だから薬には頼りたくない」と考えている人も居ます。しかし、癌に掛かった人が強烈な副作用の有る「抗がん剤」でも我慢して服用するのは、「命には代えられない」と思うからでしょう。

 2.一般的な向精神薬もこれと同じで、今苦しい最中に有る時その苦しみを緩和してしかも早く治るとしたら、多少の副作用は代償と考えても良いと考えます。上手く副作用と付き合い、早く治すためにも薬を上手に使う事だと思います。我々が通常服用する第3種の向精神薬には、それ程強い副作用のある薬は有りません。余り心配しないで上手く使う事が大切だと考えます。

 3.もう一つは医者との相性です。副作用を言い立てると、それを緩和する薬を増やす医師も比較的多いので、我々患者の立場からすると、今一つ信頼しきれない感じに成るのです。従って、薬を上手く使うのには医師との信頼関係が無いと中々難しいのです。ですので「信頼感」に少しでも疑問が生じたら直ぐ医師を変える事です。今は同じ病名でも「セカンドオピニオン」と言って、二人目の医師の意見、見立てをして貰うのが良いと言われている時代です。躊躇しない事です。

 4.更にもう一つ向精神薬には「依存性」がつき物です。比較的長く使う向精神薬には、この依存性の強い薬は一旦長く服用すると、やめる事が簡単には行きません。これも一種の副作用と言えると思います。でも良い医師は薬の減らし方も上手いです。

 5.薬の副作用とも直接関係してきますが、先日NHKの「うつ」の番組で、良い医師の選び方を放送していましたので、此処に挙げておきます。
 下の各項目のような応対を取る医師は良くないと判断して下さい。

 (1).薬の処方や副作用について説明しない。
 (2).いきなり3種類以上の薬を出す。
 (3).薬がどんどん増える。
 (4).薬について質問すると不機嫌になる。
 (5).薬以外の対応方法を知らないようだ。